【今日も、おつかれさま 】Vol.20「帰り道のコンビニ」

コラム/インタビュー
 2026/10/25
※記事内の情報は取材当時のものです。
【今日も、おつかれさま 】Vol.20「帰り道のコンビニ」

今日も、おつかれさま ― 暮らしの中の小さな物語 ― Vol.20

どこかの暮らしに、そっと寄り添う物語...

帰り道のコンビニ

仕事を終えて会社を出ると、外はすっかり暗くなっていた。

最近は忙しい日が続いている。帰宅しても夕飯を作る気力が残っておらず、コンビニで済ませることも増えた。

その日も家に帰る途中、いつものコンビニに立ち寄った。


お弁当の棚の前で少し迷う。新商品にするか、食べ慣れたものにするか。そんなことを考えていると、ふと母から届いていたメッセージを思い出した。

「元気にしてる?」

短い一文だけだった。

昼休みに気づいていたが、返信は後でいいかと思ったまま忘れていた。

買い物を済ませ、店を出る。車に乗ってスマートフォンを開き、「元気だよ」と返した。


すると数分後、「それならよかった」と返ってきた。

それだけのやり取りだった。

学生の頃は、親からの連絡を少し面倒に感じることもあった。けれど社会人になり、一人暮らしが長くなると、その短い言葉のありがたさが少しわかるようになった。

部屋に帰り、買ってきたお弁当を温める。

窓の外では近所の家の灯りが見えていた。

誰かが夕飯を作り、誰かが帰宅し、誰かがテレビを見ている。自分もその中のひとりなのだと思う。

特別なことは何もなかった一日。

それでも、誰かが気にかけてくれていることを思い出しただけで、少し肩の力が抜けた。

温かい湯気の向こうで、スマートフォンの画面がもう一度光った。

母から送られてきたのは、実家の庭に咲いた花の写真だった。

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