今日も、おつかれさま ― 暮らしの中の小さな物語 ― Vol.20
どこかの暮らしに、そっと寄り添う物語...
帰り道のコンビニ
仕事を終えて会社を出ると、外はすっかり暗くなっていた。
最近は忙しい日が続いている。帰宅しても夕飯を作る気力が残っておらず、コンビニで済ませることも増えた。
その日も家に帰る途中、いつものコンビニに立ち寄った。

お弁当の棚の前で少し迷う。新商品にするか、食べ慣れたものにするか。そんなことを考えていると、ふと母から届いていたメッセージを思い出した。
「元気にしてる?」
短い一文だけだった。
昼休みに気づいていたが、返信は後でいいかと思ったまま忘れていた。
買い物を済ませ、店を出る。車に乗ってスマートフォンを開き、「元気だよ」と返した。

すると数分後、「それならよかった」と返ってきた。
それだけのやり取りだった。
学生の頃は、親からの連絡を少し面倒に感じることもあった。けれど社会人になり、一人暮らしが長くなると、その短い言葉のありがたさが少しわかるようになった。
部屋に帰り、買ってきたお弁当を温める。
窓の外では近所の家の灯りが見えていた。
誰かが夕飯を作り、誰かが帰宅し、誰かがテレビを見ている。自分もその中のひとりなのだと思う。
特別なことは何もなかった一日。
それでも、誰かが気にかけてくれていることを思い出しただけで、少し肩の力が抜けた。
温かい湯気の向こうで、スマートフォンの画面がもう一度光った。
母から送られてきたのは、実家の庭に咲いた花の写真だった。






