【今日も、おつかれさま】Vol.16「どんぐりのプレゼント」

コラム/インタビュー
 2026/09/27
※記事内の情報は取材当時のものです。
【今日も、おつかれさま】Vol.16「どんぐりのプレゼント」

今日も、おつかれさま ― 暮らしの中の小さな物語 ― Vol.16

どこかの暮らしに、そっと寄り添う物語...

どんぐりのプレゼント


秋の休日、公園を歩いていると、足元にころんと転がってきたどんぐり。

「かわいいな」

そう思って一つ拾い、家に持ち帰った。

玄関の小さな飾り皿に置いておくと、帰宅した夫がじっと見つめている。

「これ、何?」

「どんぐり。秋らしくていいでしょ」

すると夫は少し考えてから言った。

「……食べられるの?」

思わず笑ってしまった。

「リスじゃないんだから」

それから数日後。

玄関を見ると、どんぐりが3つに増えていた。

「え?」 昨日までは1つだったはず。

夫に聞くと、少し照れたように言った。

「会社の帰りに落ちてたから」

「拾ってきたの?」

「なんとなく」

まさか、あの日「食べられるの?」と言っていた本人が、どんぐりを持ち帰ってくるとは思わなかった。

「子どもみたい」

そう笑っていると、今度は娘からLINEが届いた。

「玄関のどんぐり増えてるけど、誰の趣味?」

夫婦で顔を見合わせる。

「……犯人、私たちじゃん」

いつの間にか、玄関には小さなどんぐりが並んでいた。

大人になってから、どんぐりを拾う日が来るなんて思わなかった。

でも、そんな小さなことで笑える時間も、悪くないと思った。

人気の記事TOP10