【今日も、おつかれさま 】Vol.18「知ってる」

コラム/インタビュー
 2026/10/11
※記事内の情報は取材当時のものです。
【今日も、おつかれさま 】Vol.18「知ってる」

今日も、おつかれさま ― 暮らしの中の小さな物語 ― Vol.18

どこかの暮らしに、そっと寄り添う物語...

知ってる

仕事帰り、スーパーで買ったトイレットペーパーを後部座席に載せようとして、カーディガンに気づいた。

先月、娘を車で送ったときに置いていったのだろう。

くすんだ青色で、娘が着ていそうな色だ。


「カーディガン、車に忘れてるよ」

写真を撮って送ると、すぐに返事が来た。

「それ、お母さんの」

そんなはずはないと思った。

けれど、よく見ると見覚えがある。

先月、娘と買い物に行ったとき、「たまにはこういう色も着たら?」と勧められて買ったものだった。

そういえば先日、朝が少し肌寒くて羽織り、帰りに暑くなって脱いだ。それを後部座席に置いたまま、すっかり忘れていたらしい。


「私のだった」

そう送ると、

「知ってる」

と返ってきた。

なんだか悔しい。

家に帰って、改めて羽織って鏡を見る。

自分では選ばない色だけれど、やっぱり悪くない。

写真を撮って娘に送ろうとして、やめた。

似合っているか聞くまでもない。

たぶん返事は、また「知ってる」だから。


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