今日も、おつかれさま ― 暮らしの中の小さな物語 ― Vol.12
どこかの暮らしに、そっと寄り添う物語...
夏の終わりの観覧車

八月、夏休み最後の土曜日。
夏休みの締めくくりに、家族四人で遊園地へ出かけた。
朝から暑く、駐車場へ着いただけで汗がにじむ。
それでも子どもたちは元気だった。
地図を片手に走り出しそうになる下の子を呼び止めながら、夫と顔を見合わせて笑う。
以前なら、どの乗り物に乗るにも手をつなぎ、順番を決め、迷子にならないよう気を張っていた。
けれど今年は違った。
上の子は友達と来た時の話をしながら先を歩き、下の子も一人でチケットを持って列に並んでいる。
気づけば、自分は少し後ろから見ているだけだった。
昼過ぎ、園内で家族写真を撮った。

子どもたちは肩を寄せ合って笑い、夫は暑そうな顔をしている。
その姿を見ながら、ふと数年前の写真を思い出した。
抱っこをせがまれたり、迷子になったり、ジュースをこぼしたり。
当時は大変だったのに、今となっては懐かしい。
帰る前、最後に観覧車へ乗った。
高い場所から見える町は、いつも車で走る景色とは少し違って見えた。
隣では子どもたちが次の休みの話をしている。
「また来たいね」
その言葉に、夫も自分も同時にうなずいた。
楽しかったからではない。
きっと来年は、また少し違う一日になるからだ。
ゆっくり回る観覧車の窓の向こうで、夏の夕暮れが少しずつ色を変えていた。







