【今日も、おつかれさま】Vol.12「夏の終わりの観覧車」

コラム/インタビュー
 2026/08/30
※記事内の情報は取材当時のものです。
【今日も、おつかれさま】Vol.12「夏の終わりの観覧車」

今日も、おつかれさま ― 暮らしの中の小さな物語 ― Vol.12

どこかの暮らしに、そっと寄り添う物語...

夏の終わりの観覧車


八月、夏休み最後の土曜日。

夏休みの締めくくりに、家族四人で遊園地へ出かけた。

朝から暑く、駐車場へ着いただけで汗がにじむ。

それでも子どもたちは元気だった。

地図を片手に走り出しそうになる下の子を呼び止めながら、夫と顔を見合わせて笑う。

以前なら、どの乗り物に乗るにも手をつなぎ、順番を決め、迷子にならないよう気を張っていた。

けれど今年は違った。

上の子は友達と来た時の話をしながら先を歩き、下の子も一人でチケットを持って列に並んでいる。

気づけば、自分は少し後ろから見ているだけだった。

昼過ぎ、園内で家族写真を撮った。

子どもたちは肩を寄せ合って笑い、夫は暑そうな顔をしている。

その姿を見ながら、ふと数年前の写真を思い出した。

抱っこをせがまれたり、迷子になったり、ジュースをこぼしたり。

当時は大変だったのに、今となっては懐かしい。

帰る前、最後に観覧車へ乗った。

高い場所から見える町は、いつも車で走る景色とは少し違って見えた。

隣では子どもたちが次の休みの話をしている。

「また来たいね」

その言葉に、夫も自分も同時にうなずいた。

楽しかったからではない。

きっと来年は、また少し違う一日になるからだ。

ゆっくり回る観覧車の窓の向こうで、夏の夕暮れが少しずつ色を変えていた。

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