今日も、おつかれさま ― 暮らしの中の小さな物語 ― Vol.2
どこかの暮らしに、そっと寄り添う物語...
雨の日のコンビニ
夕方、仕事を終えて帰ろうとした時、高校生の息子から連絡が来た。
「迎えに来れる?」
珍しいことだった。
自転車通学なので、雨が降っても普段は自分で帰ってくる。

学校へ向かう車の中で、
何かあったのだろうかと少し気になった。
乗り込んできた息子はいつも通りだった。
「雨すごいな」
と言うだけで、特に何も話さない。
家まであと少しというところで、
「コンビニ寄っていい?」
と聞かれた。
珍しいなと思いながら車を止める。

数分後、息子はアイスを二本持って戻ってきた。
一本を差し出しながら言う。
「母の日、何もしてなかったから」
思わず笑ってしまった。
母の日はもうずいぶん前だった。
「今さら?」
「忘れてた」
息子も笑う。
車の中で二人並んでアイスを食べた。
溶ける前に食べなきゃと言いながら、結局少し垂らしてしまう。
家に着く頃にはアイスはなくなっていた。
特別なプレゼントではない。
でも、その日の雨は少しだけ悪くなかった。





