今日も、おつかれさま ― 暮らしの中の小さな物語 ― Vol.4
どこかの暮らしに、そっと寄り添う物語...
小さな休憩
朝から雨だった。
夫を送り出したあと、二歳の息子と家で過ごしている。
外に行けない日は時間が長く感じる。

絵本を読んで、おもちゃで遊んで、おやつを食べて。時計を見るたびに、まだこんな時間かと思ってしまう。
昼食を終えた頃、息子が珍しく自分から昼寝を始めた。
ようやく訪れた静かな時間だった。
洗い物を済ませようか。たまっている録画を見ようか。
迷った末に、温かいコーヒーを入れる。
ソファに座り、一口飲んだところで大きく息をついた。
誰かと話したわけでもないのに、肩の力が抜けていく。
窓の外では雨が静かに降り続いていた。
ほんの数十分だけの自由時間。
けれど、その数十分が今の自分にはとても貴重だった。

もう少しだけこの時間を味わおうと思った、そのときだった。
寝室の方から小さな声が聞こえる。
「ママー」
思わず笑ってしまった。
時計を見ると、まだ十五分ほどしか経っていない。
コーヒーも半分以上残っている。
少し前なら、「もう起きたの?」と思っていたかもしれない。
でもその日は不思議とそんな気持ちにならなかった。
寝室へ向かうと、息子が寝ぼけた顔で座っている。
抱き上げると、小さな手が首に回った。
温かくて柔らかい重み。
コーヒーは後で飲めばいいか。
そう思いながらリビングへ戻る。
窓の外の雨はまだ続いていた。
それでも、さっきまでより少しだけ穏やかな午後に感じられた。






