【今日も、おつかれさま】「小さな休憩」

コラム/インタビュー
 2026/07/05
※記事内の情報は取材当時のものです。
【今日も、おつかれさま】「小さな休憩」

今日も、おつかれさま ― 暮らしの中の小さな物語 ― Vol.4

どこかの暮らしに、そっと寄り添う物語...

小さな休憩

朝から雨だった。

夫を送り出したあと、二歳の息子と家で過ごしている。

外に行けない日は時間が長く感じる。


絵本を読んで、おもちゃで遊んで、おやつを食べて。時計を見るたびに、まだこんな時間かと思ってしまう。

昼食を終えた頃、息子が珍しく自分から昼寝を始めた。

ようやく訪れた静かな時間だった。

洗い物を済ませようか。たまっている録画を見ようか。

迷った末に、温かいコーヒーを入れる。

ソファに座り、一口飲んだところで大きく息をついた。

誰かと話したわけでもないのに、肩の力が抜けていく。

窓の外では雨が静かに降り続いていた。

ほんの数十分だけの自由時間。

けれど、その数十分が今の自分にはとても貴重だった。


もう少しだけこの時間を味わおうと思った、そのときだった。

寝室の方から小さな声が聞こえる。

「ママー」

思わず笑ってしまった。

時計を見ると、まだ十五分ほどしか経っていない。

コーヒーも半分以上残っている。

少し前なら、「もう起きたの?」と思っていたかもしれない。

でもその日は不思議とそんな気持ちにならなかった。

寝室へ向かうと、息子が寝ぼけた顔で座っている。

抱き上げると、小さな手が首に回った。

温かくて柔らかい重み。

コーヒーは後で飲めばいいか。

そう思いながらリビングへ戻る。

窓の外の雨はまだ続いていた。

それでも、さっきまでより少しだけ穏やかな午後に感じられた。

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