【第三部】苦しみも出会いも、すべてが未来につながる ー諦めない心が育てた音楽ー
デビューから11年。順風満帆な道のりではなく、コロナ禍による活動休止や誹謗中傷、何度も訪れた挫折を経験しながらも、蘭華さんは歌うことをやめませんでした。その歩みを支えてきたのは、人との縁、そして「有言実行」と「諦めない」という信念でした。
【中津市出身歌手 蘭華さん特別インタビュー】第一部「音楽の原点と中津での思い出」
【中津市出身歌手 蘭華さん特別インタビュー】第二部「夢を仕事にするまで」
【中津市出身歌手 蘭華さん特別インタビュー】第三部「これからの挑戦」
コロナ禍で失ったステージ、それでも消えなかった歌への想い
コロナ禍は音楽活動に大きな影響があったそうですね。
蘭華さん: 本当に大きかったです。
それまで少しずつ全国のお祭りや自治体のイベントにも呼んでいただけるようになって、「また来年も来てね」「今度は敬老会でも歌ってほしい」と声を掛けてもらう機会が増えていました。
歌を通して初めて訪れる町が好きになり、そこで出会う人たちの温かさに触れられることが、この仕事の一番の喜びだったんです。
一つひとつ種をまいて、少しずつ育ててきたご縁でした。
でも、コロナで決まっていた30本近いイベントがすべてキャンセルや延期になりました。
デビュー5周年のタイミングでもあったので、「いつになったらまた歌えるんだろう」と自問自答を繰り返して、本当にたくさん悩みました。
再会が教えてくれた、人との縁の大切さ
苦しい時期を乗り越えた今、うれしかったことはありますか。
蘭華さん: レコード大賞企画賞をいただけたことももちろんですが、コロナ前に出演していた弘前城の桜まつりに、7年ぶりに戻れたことが本当にうれしかったです。
イベントを通じて出会った方と再会できることは、何ものにも代えられません。
中津でも毎年コンサートを続けることができていて、なかつ応援サポーターとして故郷の皆さんと交流できる時間が増えていくことも大きな喜びです。
昨日は前川清さんのコンサートにゲスト出演させていただきました。
ウサノピアの館長さんから、地元出身の歌手は「私の中では蘭華さんしかいない」と言っていただいた時は、本当にうれしかったですね。
15年前に亡くなった父は、カラオケに行くとよく前川さんの歌を歌っていました。生きていたら78歳、前川さんも今年78歳。
そんな偶然が重なって、「これは縁なんだな」と強く感じました。
私は昔から直感を大切にしていますが、人との巡り合わせには必ず意味があると思っています。
「有言実行」と「諦めない」が私の原点
蘭華さんが大切にしている言葉を教えてください。
蘭華さん: 「有言実行」と「諦めない」です。
私はオリコン1位を獲ったわけでも、大ブレイクしたわけでもありません。
でも、活動をやめなかったことだけは自分の誇りです。
苦しくて、悔しくて、全部投げ出したくなる日もありました。
それでも続ける。
誰かを喜ばせたいし、自分自身にも「頑張ったね」と言ってあげたいからです。
私は「自分を承認すること」がすごく大切だと思っています。
頑張っている自分を認めてあげないと、この時代は生きていけません。
そして、人を感動させる作品は、幸せな経験だけでは生まれないとも思っています。
報われない思い、挫折、どん底を知っているからこそ、人の痛みに寄り添える言葉や音楽が生まれるんじゃないかなと思うんです。
アルバム『遺書』に込めた「それでも生きてほしい」という願い
最新アルバム『遺書』には強いメッセージが込められています。
蘭華さん: 5年前、誹謗中傷やいじめに苦しんでいた友人が、自ら命を絶ちました。
生前、「いつか私のように悩んでいる人を救う曲を書いてほしい」と言われていたんです。
必ず書くと約束していました。
でも、その友人が亡くなったあと、人生で初めて遺書を受け取りました。
相談にも乗っていたし、コロナ禍でも大分に帰る度に、彼女の住む街まで励ましに行っていました。
それでも救えなかった。
その後悔が大きすぎて、曲が書けなくなりました。
さらに今度は私自身が誹謗中傷の標的になり、眠れない日々を過ごしました。
死にたいと思っていたわけではないのに、人はここまで追い詰められるんだと身をもって知りました。
だからアルバムのタイトルは『遺書』にしました。
レコード会社からは反対もありました。
でも、どうしてもこのタイトルで届けたかったんです。
伝えたいテーマは「死」ではありません。
「それでも生きてほしい」という願いです。
SOSを出せない人がきっとたくさんいます。
だから苦しい時は誰かに頼ってほしいし、周りにいる人も小さな変化に気付いてあげてほしい。
残された人が悲しまなくていい未来になってほしい。
そんな思いを込めて歌っています。
また、誹謗中傷も戦争も、誰かを傷つけるという意味では同じだと感じています。
デビューした頃から平和を願う歌を書き続けてきましたが、これからも命を大切にするメッセージを発信し続けたいと思っています。
作家として、新しい夢へ
これから挑戦したいことはありますか。
蘭華さん: シンガーソングライターとして活動して11年になりますが、今一番力を入れたいのは作家活動です。
レコード大賞企画賞をいただいた時、自分の曲を評価してもらえたことが本当にうれしかったんです。
デビュー前の苦しかった10数年間は無駄じゃなかったんだと思えました。
それから200曲以上書きためてきました。
J-POPもアニソンもバラードも書いてきましたが、演歌・歌謡曲だけは何度も最終選考まで残っては採用されず、そのたびに泣いていました。
でも今年、ずっと楽曲提供したいと思っていた歌手の方への採用が決まりました。
丘みどりさん
2026年7月8日(水)リリース!
表題曲「まだ半ば」
C/W 「丁稚羊羹(でっちようかん)」作詩:秋元康/作曲:蘭華/編曲:桃源郷
詳細はコチラ
10年近く諦めずに続けてきたからこそ叶った夢です。
そしてもう一つ、以前から温めていた夢がお茶づくりです。
ハーブティーや薬膳茶で心と体を癒やせるものを作りたいと思い、今年は苗を植えるところから始めました。
音楽もお茶も、誰かの心を少しでも軽くできる存在になれたらうれしいですね。
「1ミリでも前へ」夢を追う人へのエール
最後に、中津や大分で夢を追う方やスマイル読者の皆さんへメッセージをお願いします。
蘭華さん: 私は、夢が叶うまで本当に時間がかかったタイプです。だからこそ、諦めずに続けることの大切さを実感しています。
思い描いていたゴールにまっすぐ進めなくても、その途中で出会う人や経験が、新しい道を開いてくれることがあります。遠回りだと思っていたことが、振り返ると自分に一番合った道だった、ということもあるんです。
だから、自分の心の声を大切にしながら、無理をしすぎず、一歩ずつ進んでほしい。
大きく進めなくてもいい。立ち止まりながらでもいい。
1ミリずつでも歩き続けていれば、きっとその先には新しい出会いやチャンスが待っています。
私もまだ夢の途中です。一緒に、自分らしい一歩を積み重ねていきましょう。
特別編 不思議なご縁から生まれた「夏祇園」
今年1月、OBSテレビの収録で福澤諭吉旧居を訪れた蘭華さん。
撮影の合間に、植木の手入れをしていたおじいちゃんから「中津出身なら中津でやらんとどうするん。祇園車の上で歌わんかい!」と声を掛けられたそうです。
「祇園車で歌うなら、お祭りの曲を作らなきゃと思ったんです」
そのわずか数日後、テレビ放送を見た関係者から「夏祇園」への参加オファーが届きました。
「去年、20年ぶりに中津祇園をゆっくり歩いて見て、改めて祇園っていいなと思った、その翌年に、このお話をいただいて。本当に運命だと思いました」
今年初披露となる「夏祇園」は、総踊りなどで披露される予定です。
「辻々でこの曲が流れて、踊り子さんが踊っている景色を見られたら、本当にうれしいですね。これから先も長く愛される曲になってくれたら幸せです」
故郷への思いが詰まった一曲が、今年から中津祇園を彩ります。
人とのご縁を大切にしながら、自分の言葉と音楽で想いを届け続ける蘭華さん。
故郷・中津への変わらない愛情と、新たな挑戦への一歩は、これからも多くの人の心に温かな力を届けてくれそうです。
3回にわたり、貴重なお話を聞かせてくださった蘭華さん、ありがとうございました。これからのさらなるご活躍を楽しみにしています。
シンガーソングライター 蘭華(らんか)
大分県中津市出身のシンガーソングライター。2015年にメジャーデビューし、作詞・作曲も自ら手掛ける。
2016年には、全曲の作詞・作曲を担当したアルバム『東京恋文』で第58回日本レコード大賞企画賞を受賞。人生や命、家族愛、平和への願いをテーマにした楽曲を数多く生み出し、全国でライブ活動を続けている。
現在はシンガーソングライターとしての活動に加え、他アーティストへの楽曲提供にも力を入れている。なかつ応援サポーターも務め、故郷への想いを胸に音楽を届けている。
[公式サイト] http://rankaweb.net/
[公式ブログ] http://ameblo.jp/rankaranka/
[公式X] https://twitter.com/ranka77
[公式Facebook] https://www.facebook.com/rankaranka
[公式Instagram] http://www.instagram.com/ranka0928/
ライブ情報
- アルバム「遺書」2023年12月13日発売。2,500円(税込)好評発売中!
祇園最終日の7月26日(日)、寺町にある宝蓮坊(ほうれんぼう)で「お寺ライブ」を開催します。
落ち着いた空間で楽しむ特別なライブ。中津祇園を満喫したあとに、ゆったりと音楽に浸る時間を過ごしてみませんか。
遠方から訪れるファンも多く、祇園とあわせて楽しめる一日になりそうです。
中津祇園 お寺ライブ
- 日時:7月26日(日)14:00開演
- 会場:宝蓮坊(中津市寺町980・合元寺近く)
- 料金:4,000円(税込)
- 参加方法など詳細は公式サイトをご確認ください。








