明治34(1901)年創業の料亭「日本料理 筑紫亭」。
クリスマス・イブの夜に開催された毎年恒例のクリスマスコンサートに行きました。
筑紫亭は大正3年に建造され、主屋と離れと塀は、2003年に国の有形文化財に登録。
主屋は、苔むす中庭を囲むように、入母屋造、桟瓦葺、二階建ての主体部が、
二階には五十二畳の大広間と二十畳の広間で構成された今では再現不可能な建築物です。
女将さんの優しい笑顔で出迎えて頂きました。
頼山陽の漢詩を揮毫した二曲の屏風。
味わい深い手漉きガラスの回廊。
「美酒鮮魚、客にすすめて懇(ねんご)ろなり。
何ぞ薄情抱きてすべからく
富家とならんや。」
筑紫亭の家訓です、食とおもてなしの精神が素晴らしいですね。
離れはかつての宇佐航空隊の将兵たちが特攻出撃前夜に最後の夜を過ごした部屋で、
特攻隊員が刀を振るって斬りつけた鋭い刀疵が今でも床柱にはっきりと残っています。
城山三郎氏の著書「指揮官たちの特攻」の中にもこの詳細は語られています。
今夜の演奏は
ビュレント・エヴチル(Flute)
フィリップ・モル(Piano)
杉山 翼(Flute)のトリオ編成です。
世界的に著名な音楽家がこの日に結集するなんて夢のようですね。
女将さんのご挨拶から演奏は始まりです。
この日の演目はエブチルさん出身のトルコ音楽を始め、
ファジル・サイ作曲の自分の娘さんに捧げた優しい曲「鳩」、
中島薫作曲の「グッバイ・モーニング」、
G・ショッカー作曲「2本のフルートためのダンス曲」、
そして日本の原風景を思い出させてくれる「荒城の月」などの日本唱歌。
しかしフルートで超絶技巧を感じるなんて初めての経験でした。
ピアニストのフィリップ・モルさんの奥様で、
コンサートプロデュースもしてくれた獄道さんの挨拶と曲目紹介。
わかりやすい解説一層楽しめました。
この日はビュレント・エブチルさんの誕生日(なんとイブ!!)、みんなで祝福しました。しかし伝統的な日本家屋とクラシック音楽の対比、
なぜか調和して新たな趣を醸し出しています。
さて今夜のお料理の紹介です。
すみません、食べるのに夢中でお椀と鱧のシャブシャブを撮り忘れました。本日のお料理の前菜(貝柱の白あえ、鱧湯引き、対馬産クエ、蒲江産白甘鯛からすみ巻き、鱧寿司、巻蒸など)です。
柚子窯(北海道産の白子、百合根、蒲江産紫雲丹など)。
しめじ、牡蠣、紅大根などの芋御飯。
紫芋きんとん、甘すぎず柔らかな触感でした。
ドラゴンフルーツ、シャインマスカット、ザクロなどの水菓子。
最後は抹茶で締めです。
最初は2フルートプラスピアノのやや変則的な編成にとまどいましたが、
それも杞憂に終わり、まだまだ音楽や料理の楽しみ方に新たな可能性をしみじみ感じた夜でした。
日本料理 筑紫亭
- 名称
- 日本料理 筑紫亭
- 電話番号
- 0979-22-5108
- 住所
- 〒871-0038 大分県中津市枝町1692
- 定休日
- 週一回休日 不定休
- 営業時間
- 12:00~13:30LO 18:00~20:30LO