
中津市寺町の「西蓮寺」。
城下町中津の風情を残し、歴史を感じさせる通りにある歴史深いお寺である。
天井高く見事な彫刻に飾られた本堂に足を踏み入れると、そこには凛とした空気が流れ、畳の上を一歩一歩進む度に、背筋も伸びてくる。日本人なら馴染みの深い光景である。
ただ一点、無造作に置かれている年季の入ったギブソンのアコースティックギターや、ローランドのアンプを除けば・・・。
静かな本堂に美しいメロディが流れてきた。黒田さんは現役の住職でありながら、ミュージシャンの顔を持つ。中学からはじめたギターの腕はプロ級の腕前だ。家業が代々続く仏門であるがゆえ、生まれた時から進路は決まっていた。一片の迷いなく京都で仏教を学び、23歳で故郷に戻り仏の道を歩いてきた。そして意外な所で転機が訪れる。
阪神淡路の震災である。ボランティアで現地に行き、惨状を目の当たりにした黒田さんは、戻ってきてからの平和な日常に違和感を覚えた。何か自分にできる事はないだろうか。自分にできる事、それは音楽しかない。
1995年志を同じくする僧侶の仲間を集めバンドを結成、震災復興のチャリティライブを行った。お坊さんたちのバンドは注目を浴び、各方面から出演の依頼が来る事になる。
高校の時からオリジナル曲を作っていた黒田さんの楽曲には、一貫したテーマがある。それは幼い頃から「仏教」を学ぶにつれて考えるようになっていった「命」という壮大な言葉。子供たちへはもちろん、大人にも伝えたい大切な事。仏の道を説く事も音楽を聞いてもらう事も同じ事だと黒田さんは話す。そこに伝えなくてはいけないメッセージがあるのだから。
現在はソロ活動を中心に、2006年に結成したバンド「KULO(クロ)」として九州各地に足を運び、多くの人に命の歌を届けている。
本業である住職として本堂で話をする時も、ギターを抱え音楽が持つ素晴らしい力を借りて人々の心に深く呼びかけているそうだ。
音楽は世代を超えてコミュニケーションをはかれる唯一の存在。
これからも黒田さんのメッセージは、多くの人の心を揺さぶり続けるに違いない。























